ジョントラボルタが女装して歌って踊るやつ(『ヘアスプレー』)

我慢しきれず「ヘアスプレー」(2009)を観てきました。


そもそもどんな話なのか知らず、なんかおデブの女の子が頑張る話なんだろうなくらいに思っていて、あとはずーっと昔に幼なじみが1番すきな映画にあげていた気がするな、というくらいで、まあ考えなくていいハッピーな映画が観たいと思って行きました。

つまり侮っていました。

 

ボルチモアが舞台で、1番最初に見逃すかもしれないくらいのスピードで「黒人の入学を大学が拒否」というニュースが流れる。
その後に、どう見ても脳内お花畑の女の子が
good morning baltimore! everyday's like open the door!と底抜けにハッピーに歌い始める。
彼女のテンションは劇中一貫していて、最初になんやこいつとひいてしまっても、気がつけば笑ってしまうくらいにエネルギーが強いのです。

the world keeps spinning round and round
物語は一貫してこの態度で進んでいく。

トレイシーにとって、相手の肌が何色だろうが飲んだくれだろうが関係ない。クラスの中ではたぶん浮いていて、お母さんは10年来の引きこもりで、どうやったらこんなハッピーな人格形成ができるんだと疑問に思わないでもないけど、とにかく出会う者に手を振るし、周りもうっかり笑顔になってしまう。


三者三様のbig,blond,beautifulが歌われるように、美しさは何通りもあって、排他的な者も含めて多様な人がいる。
いつだってわたしは変われるしあなたも変われる。
だって地球は回っていて、いつだって明日はくるんだから。
frontierであるアメリカ、憧れのアメリカ、こうなっていきたいしきっとこうなっていけるんだという姿が描かれ続ける。


おもしろいのは若者たちの思想が必ずしも親や教育に育まれているわけじゃないこと。

大人が導くことがあればその逆だってあり得ること。

誰か、何かとの出会いによって踏み出せる一歩があること。
これを違和感なく演出するのって、もしかしたら日本では難しいんじゃないか。
もちろんミュージカル映画特有の力業展開ではあるけれど。

そんなことをサントラ聴きながら考えています。



Hey,old friend,let's look back

On the crazy clothes we wore

Ain't it fun to look back

And to see it's all been done before?

"Come So Far(Got So Far to Go)"