夢の中まで活動しちゃったら脳みそがバグるとか思っちゃいけない(「ウルフウォーカー」)

「ブレンダンとケルズの秘密」を見逃してから何年経ったでしょうか。人にお勧めされてみたので「ブレンダン•••」の人たちとは知らないままに見てどっかで見たことのある絵だなと思いながらあとでwebを見て納得しました。

絵本みたいな背景に、直線と曲線で描き分けられる世界。やっぱり魅力的なので過去作もちゃんと観ようと思います。

登場人物たちになんでその名前をつけたのだろうかといつも考えてしまう癖がありまして、今回も違わず。特に今回はケルトだ!なんか聞いたことある名前がいっぱい出てきた!となったので余計に気になってしまいました。

イングランドから来た少女ロビンは緑の人ロビンフッド、その相棒のハヤブサには魔術師マーリン、森で出会った「ウルフウォーカー」の少女メーヴは妖精の女王の名前。ではロビンの父グッドフェローズは?

ぐぐりました。ありがてえなワールドワイドな知識にすぐアクセスできる現代社会。

民間伝承としてロビン・グッドフェローという妖精がいるんだそうです。人間と妖精の子としていたずら好きで人に親しみを持つ存在なんだそう(諸説あり)

そうか、少女ロビンも妖精だったのか。相棒マーリンだって人と夢魔の子だ。

彼女がRobin Goodfelloweであることから、父親はGoodfelloweと護国卿から呼びかけられるわけですが、この呼び名がなんとも皮肉だなと思うのです。彼のキャラクターは単純に「いいやつ」というより、「属するもの」として「善き人」という感が強いのです。従順であるものとして運命づけられ、護国卿の仕打ちが「怖いから」従わざるを得ないのだという苦しみを抱える。

 

「怖いのだ。お前が牢に入れられてしまうこと、お前と離れ離れになることが」

「今だって檻の中にいるじゃない」

 

少女二人の冒険譚だと思って見ていたけれど、実は違うんじゃないか。だって彼女たちは最初から「人の世界」に属しきってはいないのだ。あちらとこちらを作ってはいないのだ。

 この映画の中で、ある種本当に冒険し、何かを見つけたのは父親だったんじゃないか。そんなふうに思うのはわたしが歳を取ったからでしょうか。

 

ところでもう一人、呼び名のある人が出てきます。イングランドの護国卿 ’Lord Protect'です。彼は神’Lord’の御心と言ってアイルランドの開拓を進めようとする。彼自身がLordを名乗りながら。そしてファンタジーの生きる世界で、Lordは墜落するのです。なんともまあ過激な話じゃないでしょうか。時代設定としてまんま護国卿クロムウェルなのだと、これも後から知りました。好奇心は人を賢くするね!

 

 

Wolfwalkers(2020)

Tomm Moore and Ross Stewart

Ireland-Luxemburg-French

Cartoon Saloon and Mélusine productions